
こんにちは!管理栄養士のtomです
子供が生まれたら誰しもが経験する離乳食。そもそも離乳食ってどうして必要なのかご存知ですか?
離乳期(生後5~6ヵ月頃)になると母乳やミルクだけでは足りなくなる栄養素が出てくるので、少しずつ食事を摂って栄養素を補完していくのです。
今回は離乳期に不足しがちな栄養素が欠乏したらどうなるのか、どうやって摂っていけば良いのかを説明します。
離乳食に不足しがちな栄養素

離乳期に不足しやすい栄養素
エネルギー
鉄
ビタミンD
母乳育児かミルク育児かで不足のリスクが変わってきますが、どちらにしても上記のものは不足しやすいという事を覚えておくと良いでしょう。
エネルギー

赤ちゃんの身体が大きくなると1日に必要なエネルギー量も増えてきます。6ヶ月頃から母乳やミルクだけではエネルギー量が足りなくなってくるので、離乳食でエネルギーを補う必要があります。
不足すると?
体重が増えなくなる
発達が遅れる
元気がなくなる
エネルギー量が足りなくなると体重が増えなくなり、発達が遅れたりします。
ただ、赤ちゃんの発育には成長ホルモンや遺伝なども影響しているので、一概に食事が原因であるとは言えません。
エネルギー量が足りているかどうかは身体発育曲線のカーブに沿っているかどうかで判断します。

母子手帳にも載っている身体発育曲線のカーブに沿って成長していれば問題ありませんよ♪
どうやって補えば良いの?
エネルギーに関しては授乳離乳の支援ガイドの目安量を参考にして食事をあげましょう。
授乳離乳の支援ガイドでは炭水化物、タンパク質、ビタミンミネラル類の具体的な量が示されています。毎回その量を測る必要はありませんが、目でおおよその量を確認しておくと次から多い少ないがわかるようになるので、最初の数回は測って用意すると良いかもしれないですね。
エネルギーが足りているか足りていないかは、母乳やミルクの量、赤ちゃんの活動量などにより変わってくるので、だいたいの量で覚えておけば大丈夫。
赤ちゃんが発育曲線に沿っていれば問題ないので、定期的に体重を測定して観察しましょう。
鉄

赤ちゃんは生まれてしばらくは、ママからもらった鉄(貯蔵鉄)を少しずつ利用しながら成長するのですが、その貯蔵鉄は生後6ヵ月ごろに底をついてしまいます。
母乳には鉄がほとんど含まれていないので、食事から鉄を補充する必要があります。
鉄は赤血球を作る為に必要な栄養素で、血液中の酸素を運ぶ役割があり、肉や魚のような動物性食品、ほうれん草や小松菜などの緑葉野菜に多く含まれています。
不足すると?
鉄欠乏性貧血になる
症状)疲れやすい、息切れ、動機、めまいなど
また、貧血になる前の鉄欠乏の状態でも乳幼児期の神経運動発達系に悪影響を与える可能性があるという報告もあります。
どうやって補えば良いの?
鉄の多い食品を積極的に離乳食に取り入れましょう。
鉄の補給方法は3つあります。
①鉄の多い食材を活用する
鉄には肉や魚に含まれている『ヘム鉄』と、野菜や穀類、卵に含まれている『非ヘム鉄』の2種類あります。
ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収率が高いです。
鉄の多い食品
【ヘム鉄】まぐろ、豚肉、牛肉、青背の魚、レバー
【非ヘム鉄】大豆製品、卵、ほうれん草、小松菜
非ヘム鉄は吸収率が悪いので摂ってもあまり意味がないと思われがちですが、非ヘム鉄はタンパク質やビタミンCと一緒に摂ると吸収率を高めることが出来ます。
非ヘム鉄の吸収を良くする食事例
ほうれん草から摂れる鉄の吸収率を上げてみます。
タンパク質を一緒に摂るために豚肉を追加
ビタミンCと一緒に摂るためにイチゴを追加
これだけで吸収率UP!
この食事を見て何か気が付きませんか?
非ヘム鉄の吸収率を良くしようとしただけなのに、気が付いたらタンパク質やビタミン・ミネラルも入っていてバランスの良い食事になりましたね。

栄養素を効率よく摂取できるので、バランスよく食事を摂ることって本当に大切なんですよ
②市販の鉄強化食品を活用する
日本では赤ちゃん用の鉄強化食品が販売されています。
鉄強化食品
赤ちゃん用ふりかけ
赤ちゃんせんべい
お菓子
ジュース
ベビーフード など
種類は多くないですが、ベビーコーナーなどで販売されているので、お近くのお店で探してみて下さい。
「鉄」と記載があるものは大抵鉄強化食品なので、パッケージに注目すると良いでしょう。
③粉ミルクを活用する
母乳には鉄がほとんど含まれていませんが、育児用ミルクには鉄が含まれています。
離乳食のお粥や野菜などに粉ミルクを入れると簡単に鉄を強化できますよ。
ビタミンD

ビタミンDは消化管でのカルシウム吸収を促す、血液中のカルシウムやリンの濃度を調節して骨の健康を保つ、骨の成長に重要な役割を果たしています。
鉄と同様、赤ちゃんにとって十分な量のビタミンDは母乳に分泌されていません。
不足すると?
くる病になる
症状)全身の骨成長障害と骨格の変形
くる病は成人では骨軟化症と呼ばれており、全身の骨成長障害と骨格の変形を起こす病気です。脊髄や足が曲がってしまったりします。
どうやって補えば良いの?
ビタミンDは食事以外にも、日光中の紫外線を浴びることで作ることができます。そのため、お散歩へ出かけるだけでもビタミンDを補給することが出来ます。
日光を浴びることで骨が強くなるので、必要以上の日焼け止め塗布には気を付けましょう。
では食品からの補給方法をいくつか説明します。
①ビタミンDの多い食材を活用する
ビタミンDの多い食材は以下の通りです。
ビタミンDの多い食品
シラス干し、卵黄、鮭、イワシ
サンマ、カレイ、キノコ類
これらの食材でビタミンDを補給できます。
しらすは初期から使用できますし、後期以降になれば刻む必要がなくなるので、使いやすい食材ではないでしょうか。キノコ類については繊維が豊富で消化しにくいので、9ヵ月以降の離乳後期頃からの方が良いでしょう。
②粉ミルクを活用する
育児用ミルクは鉄だけでなくビタミンDも強化されています。
ビタミンD補給の観点からも離乳食に粉ミルクを活用すると良いでしょう。
③サプリメントを活用する
ベビー用のビタミンDサプリメントが販売されています。
薬局のベビーコーナーにも置いてあり、簡単に手に入りますよ。
ビタミンDに関しては日頃のお散歩と離乳食で補うことが出来るので、
- 外に出かける機会が少ない
- 離乳食を食べてくれない
という子にはサプリメントの使用を検討すると良いかもしれないですね。

日光照射も離乳食量も十分な子には、わざわざサプリメントを使わなくても良いんじゃないかなと私は思います
毎日きっちり摂れなくても心配しないで!

上記のものを毎日きっちり目安量まで摂らなくても大丈夫です!ある日は少なくても次の日は意識して摂るようにするなど、だいたい1週間くらいで調整できれば問題ないです。
栄養素は短期的に不足しただけでは体に影響ありません。不足した状態が長期的に続いてしまうと、欠乏症として症状が現れる恐れがあるので、不足しやすい栄養素を少し意識して摂れると良いですね。
とはいえ、ママやパパが用意しても、離乳食を食べてくれない子もいます。
必要な量は赤ちゃんによって違うので、食が細い場合でも成長曲線に沿って元気に成長していれば大丈夫です!
まずは赤ちゃんが楽しんで離乳食を食べるということが大切なので、パパやママも一緒に離乳食の時間を楽しみましょう♪